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英語は簡単か

英語がなぜ世界の共通言語になったのか?を考える余地などないほど、世界の共通言語としての英語の地位は不動です。

かつてイギリスが世界各地を植民地にする中で、英語が多くの地域で話されるようになり、また、イギリスの植民地だったアメリカが独立後、世界をリードする大国になったというような歴史的背景に加え、英語が他の言語と比べて、文字や発音、文法が簡単だからということが理由だと一般的に言われています。

私もその通りなのだと思っていますが、後者の英語が簡単な言語という認識は、私たち日本人の英語学習者には大きな誤解とプレッシャーを与えるような気がしています。

確かに、英語は簡単な言語かもしれません。アルファベットはたったの26文字。発音もフランス語やロシア語なんかと比べれば、まだ再現できそうなレベルです。


文法はと言うと、例えば動詞の活用なら、以下のように日本語と比べるとなんとシンプル。(英語には過去形、過去分詞と形が変わる不規則動詞がありますが、動詞全体の中では不規則動詞の数はごくわずかなので、規則動詞の例を挙げます。それにしても、日本語の動詞の活用が恐ろしく複雑...)



でも、だからと言って英語が日本人にとって習得が楽な言語なのかは別の話しだと思うのです。

アメリカの国務省(日本の外務省に相当)にForeign Service Instituteという外交官養成機関があります。ここでは、70以上の言語のレッスンが行われるそうですが、対象言語は難易度別に4つのカテゴリーに分類されています。(カッコ内の数字は学習時間数)



なんと日本語は、英語を母語とする人には習得が最も難しいと言われるカテゴリー4の超難関言語となっています。英語の原文によれば、カテゴリー4は「Super-Hard Languages」(画像をクリックすると、アメリカ国務省のサイトで原文を確認できます)


スーパーハードですよ!学習時間もカテゴリー3の倍です!と言うことは、裏を返せば、私たち日本人にとっても英語はスーパーハード言語だということになります。

外国語を学ぼうとする時、習得しやすいかどうかは、対象言語の文字や文法が簡単かどうかではなく、母語と対象言語に親和性があるかどうかどうかカギとなります。さらに、カテゴリー3に説明があるように、言語的な親和性だけでなく、文化的な類似性も重要な要素のようです。言語は文化って言いますもんね!

英語は簡単な言語というのは恐らく事実であるものの、日本語と英語は、文字、発音、語順のどれをとっても言語学的にも、そして文化的にも親和性の乏しい言語同士です。


私たち日本語話者にとっては、習得が難しいスーパーハード言語と再認識し、その言語の習得には、一定の時間がかかると覚悟できれば、思うように上達しない焦りやプレッシャーを最小限に抑え、前に進んでいけるのではないかなぁと思っています。

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